河田小龍特別展
現在、記念館では河田小龍特別展を開催しております。河田小龍は坂本龍馬に世界情勢を語り、多大な影響を与えた人物で、幕末から明治にかけて活躍した土佐藩出身の日本画家です。屏風や掛け軸、ふすま絵などを幅広く描きました。
小龍はアメリカに渡ったジョン万次郎(中浜万次郎)の取り調べに当たり、万次郎の話の内容を自身が描いた挿絵を加えて漂巽紀畧(ひょうそんきりゃく)という本にまとめました。やがて同書が江戸に持ち込まれると、諸大名間で評判になり、万次郎は幕府直参として取り立てられます。
また、かねて親交のあった藩御用格医師・岡上樹庵の妻が龍馬の姉・乙女であったことから、剣術修行を終えた若き日の龍馬は小龍のもとを訪ね、小龍から海外事情についての話を聞きました。
世界事情に開眼した龍馬は“自分は船に取り組むので、先生は乗り組む士官を養成してほしい”と小龍に頼んだといいます。そしてそれは、後年見事に実現されました。
特別展の見どころである「龍虎図(りゅうこず)」(縦180㎝×横70㎝の大作)。この龍虎図は小龍が亡くなる前年の作で、永い画業での大集成、最高傑作といわれています。対になった龍と虎はまるで生きているような迫力(写真中央)。そして「維新前高知城下十二ヶ月」は近年京都で発見されたもので、維新前高知城下の年間行事や当時の生活を一年にわたり記録写真のように伝えてくれる貴重な作品です。
当館所蔵の全国的にも大変貴重な小龍の代表作を、この機会にぜひ堪能してください。