記念館日記(4月30日)
今日の函館は最高気温が20℃を超え、ポカポカ陽気に恵まれました。そして、当館では現在、明治維新150年&NHK大河ドラマ「西郷どん」放送記念特別展を好評開催中です。
一番の注目史料は西郷隆盛の「書懐」古詩双福(真筆)。ペリー来航の二年後、西郷二十七歳の書で、自らの決意を力強く綴ったすばらしい書です。以下はその現代語訳。
『人生、もともと長くはない
この身をどうして軽んぜられよう
利益を計るならまさに天下の利を計るべきである
名を求めるのなら、万世に残る名を求めるべきである
ましてや、虎や狼のような連中が食いかかろうとする時であれば
あくせくするようなことは無用で、その国境を守れ
骨を埋むべき所は至る所にある
だれが一朝の栄枯にこだわる必要があろう
男として大切なことは、物事の起こる矢先におらねばならぬという事
よし、おまえの鞭を振り上げ、おのれの道をひらきすすめ
一本の葦のように狭い海を渡れば大陸だ
鴨緑江の流れを見送ると、今度は崑崙の山が出迎えてくれる
秋草もようやくしおれるころ、寒さに馬も朝方にいななく
天の涯まで雲一つなく、はてしなく大地がつづく
ああ、私も二十七、もう人生の半を過ぎようとしている
これからいったい何に打ち込めばよいのか
気持ちが込み上げ、思わず遠くまで吹いてゆく風のかなたに目をやる
月は東洋から西洋を照らすのだ』
函館はペリー来航の地、そして新選組最期の地、そして龍馬が目指した新天地です。また、維新後の北海道開拓を担った屯田兵制度は西郷が発案し、開拓次官・黒田清隆が実行に移したと言われています。
大型連休は、ぜひ当館で幕末維新を体感するとともに、戊辰戦争終焉の地・五稜郭のすばらしい桜を堪能しにいらしてください。