第32回「ストーブの日」(11月25日)
昭和63年(1988)に国産第1号ストーブが復元されて以来、毎年11月25日を「ストーブの日」と定め、国産第1号ストーブの複製が展示されている箱館高田屋嘉兵衛資料館に市民が集まって火入式を行っています。
幕末、蝦夷地にも外国船が頻繁に訪れるようになり、幕府は、当時松前藩が治めていた蝦夷地を直轄することにしたため、多くの役人がやって来ました。彼らにとって蝦夷地の統治、調査等の際に最大の敵だったのが、冬の寒さでした。
安政3年(1856)、箱館奉行所は、役人の梨本弥五郎と五稜郭の設計者・武田斐三郎を停泊中のイギリス船に送り込み、ストーブのスケッチを命じました。半年後、そのスケッチをもとに函館の鋳物職人である源吉が製作した6台が、日本初のストーブといわれています。このストーブは1台86㎏もあったそうです。
酒井賢佑館長の説明に続き、火入式によってストーブに点火されると、薪ストーブ独特の暖かさと匂いが館内に立ち込めました。興味津々の子どもたちは暖房器具のルーツである薪ストーブの暖かさと共に、先人の苦労や遺徳を体感したことと思います。 郷土の歴史を学び、先人を偲ぶこのような機会を、私たちは大切に継承していきたいですね。