坂本龍馬記念館活動報告2011年

平成23年「龍馬祭」盛大に挙行!



平成23年11月12日(土)、北海道坂本龍馬記念館及び函館龍馬公園を会場に、平成23年「龍馬祭」が開催されました。龍馬祭は龍馬の誕生日、命日、そして「蝦夷地の坂本龍馬像」建立記念日である11月15日にあわせ、近代日本の基礎を築き、蝦夷地開拓を目指した坂本龍馬の志と行動力を受け継ぎ、誇りある国づくりを目指して同志が参集する一大イベントです! 地元の高校生や大学生の若者たちをはじめ、全国の龍馬ファン、同志が語り合った熱い一日のようすを報告します。


@「未来を語る会」(9:30〜11:00/於 北海道坂本龍馬記念館内特設会場)
“龍馬や坂本家ご子孫と共に未来を語ろう!”をコンセプトに、函館市内大学生との共同企画で実現した座談会。記念館顧問・ 坂本家九代当主 坂本登氏と、北海道大学や北海道教育大学の学生さん計18名による熱気溢れるディスカッションが行われました。 まずは自己紹介。学生の皆さんには将来の夢も併せて発表してもらいました。北大水産学部の男子学生は「日本の食糧自給率を上げておいしい魚を生み出したい」、教育大の男子学生は「社会の先生になって日本の歴史を子どもたちに伝えたい」、女子学生からは「子どもとお年寄りが住みやすい街をつくる」、「来年オーストラリアに留学するので、語学を将来の仕事に役立てたい」、「幸せな家庭を築きたい」など、様々な夢が発表されました。




坂本登氏からは、「平成の咸臨丸」というテーマで、10月に勝海舟やジョン万次郎のご子孫と共にハワイとニューヨークを訪れ、シンポジウムやフォーラムに参加した際の報告がありました。ハワイにおいては、ジョン万次郎ら5人の日本人が漁の途中に遭難してアメリカの捕鯨船に救助され、本土に渡った万次郎を除く4人の面倒をみていたという宣教師のご子孫から、今まで知られることのなかった当時の様子が伝えられ、史実として重要な発見があったことが報告されました。また、ニューヨークで行われたシンポジウムには日米の高校生らが参加し、意見交換を通じて「龍馬の精神がアメリカの人々にも伝わったと感じた」との感想が述べられ、併せて、坂本氏の「龍馬が考えていた自由と平等についての話を今後も伝えていきたい」という夢が語られました。




ディスカッション前半のテーマは「理想の社会や日本像について」。
“笑顔で暮らせる社会”、“自分らしく生きることができる社会”、“家族で仲良く食事ができる社会”といった意見から“情報を正しく国民に伝えてほしい”、“最低賃金を上げてほしい”といった要望、そして“他国に影響されず、国家としての意志をしっかり持った国”などの意見が出されました。これらの意見に基づき、後半は「理想社会の実現に向けて自分たちができること」の発表。 女子学生からは“他人や自分、そして環境に優しくする”、“インターネットばかりではなく読書から大切なことを学ぶ”、男子学生からは“自分自身のことを知る努力をする”、“龍馬さんのように考えたことは必ず行動に移す”、“決断力を持つ!” などの意見や決意が発表されました。坂本氏からは、“龍馬のように自分の意志をしっかりと持って行動してほしい”というエール、そして“もし今龍馬が生きていたら何をしていると思いますか?”という質問には、“自由で平等な社会を目指して行動していると思います” との返答。学生たちは坂本氏を通じて龍馬からのメッセージも感じ取っていたようです。




A「坂本龍馬蝦夷地上陸祈念祭」(13:00〜13:40/於 函館龍馬公園)
龍馬の宿願であった蝦夷地上陸を祈念し、その高き志と功績を顕彰し、受け継ぐ式典です。
最高の天気に恵まれ、厳粛、かつ盛大に執り行われました。

《式次第》
一、開会の辞
一、海援隊旗掲揚   演奏 北海道函館西高等学校吹奏楽局
一、祭文奉読     北海道坂本龍馬記念館館長 三輪貞治
一、奉納       和太鼓演奏 蝦夷龍馬太鼓 天龍
           YOSAKOIソーラン演舞 函館学生連合 〜息吹〜
一、祝辞       函館市長 工藤壽樹氏
            NHK函館放送局局長 正田真氏
一、主催者挨拶    北海道坂本龍馬記念館顧問・坂本家九代当主 坂本登
一、閉会の辞


祭 文

坂本龍馬先生のご生誕及び命日、そして蝦夷地の坂本龍馬像建立記念日に際し、先生のご遺徳を偲び、謹んで申し上げます。 幕末、坂本先生は、その高き志と行動力、そしてその人徳により、薩長同盟締結から大政奉還へと導き、長く続いた武家政治を 終焉させ、近代日本の礎を築くという、世界でも類稀なる政治体制の変革を成し遂げられました。また、幕末動乱期にあって、 蝦夷地開拓と防衛の重要性にいち早く着眼され、その実現に向けて行動されました。 先生の蝦夷地上陸への篤き想いは、やがて坂本家ご子孫の北海道入植によって受け継がれ、平成二十二年十一月十五日、戊辰戦 争終焉の地であるここ函館において、全国の同志の篤い想いと力が結集し、蝦夷地の坂本龍馬像建立という形で具現化されました。 坂本先生をはじめとする、多くの先人の方々のお陰によって、現在の日本、そして北海道の繁栄があるということを、私達は今一度深く心に刻み、先生が目指された日本のせんたくを継承し、誇りある国づくりと世界平和を目指して同志の輪を広げるべく、 今後一層、努力、邁進していくことをお誓い申し上げます。
平成二十三年十一月十二日                        北海道坂本龍馬記念館館長 三輪貞治




B「公開フォーラム」(14:00〜17:30/於 北海道坂本龍馬記念館内特設会場)
テーマは『平成日本のせんたくに向けて』〜今、我々がすべきこと〜。龍馬の意志を受け継ごうという同志15名が 、北海道、東京、埼玉など全国から参集しました。参加者は大学生や主婦、社会人など様々ですが、世代や性別を超えて熱い討論が交わされました。1つ目のテーマは「幕末と現代の問題点や共通点について」。団体役員の方による、“現代社会は人間個々の結びつきや社会に対する関心が薄いと思う。 日本の方向性を真剣に考えて行動した幕末の志士たちに学ぶべき”という意見を皮切りに、“情報過多な現代においては、メディアの影響に注意しなけれ ばならないと思う”(女子大学生)、また、“幕末の志士たちは、佐幕派、倒幕派を問わず皆真剣で命がけだった。現代日本は豊かさゆえに危機感が薄いのでは”(会社経営者)といった指摘もありました。




2つ目のテーマは現代日本の改革や改善に向けて今自分たちができることについて。 “龍馬のように何事にも一歩踏み出す勇気を持つ”(団体役員)、“仕事を通じて龍馬や坂本家子孫の功績を広く伝えたい” (新聞記者)、“経済力があり市民が安心して暮らせる街づくりを目指す”(市議会議員)、“目標に向かって決してあきらめない、 負けない強い気持ちを持つ”(主婦)、“地域振興の活動を通じて、人と人とのネットワーク作りを地道に続けたい”(団体役員)など、 それぞれの立場に立った決意表明が発表されました。そして、それぞれが“日本のせんたく”を継承していく決意を確認し合いながら、その熱気は交流懇親会へと続いていきました。




C「懇親交流会」(18:00〜/於 北海道坂本龍馬記念館ホール)
龍馬祭のフィナーレを飾るのは懇親交流会。地元の主婦ボランティアさんによる函館名物のいか刺やいかめしなどのおいしい手料理に舌鼓を打ちながら、幕末談義や国家論が繰り広げられました。もちろん酒は銘酒「船中八策」!

埼玉から参加してくれた女子大学生は、限られた経費の中で何とか龍馬祭に参加しようと、航空機やJRではなくバスとフェリーを乗り継いで参加してくれました。お父さんも彼女の熱意を受け止め、快く参加を許してくれたそうです。出発日の朝、食卓にはお父さんからの“気をつけて行ってきなさい”の置手紙・・・。“参加できて本当によかったです”と語ってくれました。東京の会社経営者の方は、ご自身が生活されている蒲田地区と隣接する川崎市のエピソードを語ってくださいました。30年前は寂れていた川崎市が、今は活気溢れる街に変貌を遂げ、蒲田地区とは様相が逆転したとのこと。街づくりには長期的展望と具体策、そしてもちろん市民の協力や努力が不可欠といった経験に基づくエピソードが紹介されました。国づくりにおいても、これと同じことが言えるのではないでしょうか。 途中、詩吟や歌の披露もあり、幕末志士たちの如く語り合った交流会は、熱さを増しながら夜中まで続いたのでありました。




平成23年「龍馬祭」は地元函館の皆様をはじめ、全国の龍馬ファンや同志の皆様にご参集いただき、盛況裡に終えることができました。 今後も龍馬塾の発展を図り、龍馬精神を広く全国へ、世界へ発信してまいります!!