坂本龍馬記念館活動報告2014年

平成26年「第11回 龍馬祭」盛大に挙行!


11月15日(土)と16日(日)の2日間、「第11回龍馬祭」が盛大に挙行されました。龍馬祭は龍馬の誕生日と命日、そして北海道坂本龍馬記念館開館と蝦夷地の坂本龍馬像建立記念日である11月15日に合わせ、近代日本の基礎を築き、蝦夷地開拓を目指した坂本龍馬の志と行動力を受け継ぎ、誇りある国づくりを目指して同志が集まる一大イベントです。 今回から新たに「第1回全国龍馬書道コンクール」の表彰式と作品展もプログラムに加わり、全国から幅広い年齢層の人々が参集して交流し、学び、そして熱く語り合いました。 ここでは2日間に渡って盛大に挙行された龍馬祭のようすをご紹介します。


坂本龍馬蝦夷地上陸祈念祭 (11月15日 13:30〜15:00/於 北海道坂本龍馬記念館)
この式典は、龍馬の宿願であった蝦夷地上陸を祈念し、その高き志と功績を顕彰し受け継ぐものです。今年は悪天候に見舞われたため、プログラムを一部変更し、初めて記念館内にて挙行しました。恒例のYOSAKOIソーラン記念演舞が中止となったことは残念でしたが、龍馬をはじめとする志士の書やゆかりの品々に囲まれた中での式典は、あたかも幕末の志士も共に参列しているように感じられる厳粛で重みのあるものでした。
式典には約70名の方々が列席し、下記の式次第に沿って執り行われました。今回より、式典に先立って神事が執り行われ、山上大神宮宮司の澤辺益美様が祭司を務めてくださいました。山上大神宮は、かつて坂本龍馬の縁戚である澤辺琢磨が第八代宮司をつとめるなど、龍馬とは深い繋がりがある由緒ある神社です。神事に続き、式典は荘厳な雰囲気の中で進められました。
今回は「第1回全国龍馬書道コンクール」の表彰式も執り行われ、入賞された16名の個人と2組の団体の表彰と併せ、応募作品全493点の中から選ばれた入選・入賞作品計113点が金森赤レンガ倉庫・洋物館ギャラリー及び当館エントランスホールで展示され、その力強い作品の数々が大好評を博しました。
※「第1回全国龍馬書道コンクール」の入賞作品と入選者名はこちらでご覧いただけます。
http://www.ryoma1115.com/calligraphy/01/index.html


《式次第》
一、開会の辞     司会 川越栄子
一、神事       山上大神宮宮司 澤辺益美様
一、祭文奉読     北海道坂本龍馬記念館館長 三輪貞治
一、来賓祝辞     衆議院議員 前田一男様
一、第一回全国龍馬書道コンクール受賞者発表と表彰
一、来賓祝辞     函館市教育委員会生涯学習部長 政田郁夫様
一、主催者挨拶    郷士坂本家十代当主 坂本匡弘
一、閉会の辞      司会 川越栄子

 



祭 文

坂本龍馬先生のご生誕及び命日、そして北海道坂本龍馬記念館及び蝦夷地の坂本龍馬像建立記念日に際し、坂本先生のご遺徳を偲び、謹んで申し上げます。 幕末、坂本先生は、その高き志と行動力、そしてその人徳により、薩長同盟締結から大政奉還へと導き、長く続いた武家政治を終焉させ、近代日本の礎を築くという、世界でも類稀なる政治体制の変革を成し遂げられました。また、幕末動乱期にあって蝦夷地開拓と防衛の重要性にいち早く着眼し、その実現に向けて行動されました。 坂本先生の蝦夷地上陸への篤き想いは、やがて坂本家ご子孫の北海道入植によって受け継がれ、平成22年11月15日、戊辰戦争終焉の地であるここ函館において、全国の同志の篤い想いと力が結集し、蝦夷地の坂本龍馬像建立という形で具現化しました。 坂本先生をはじめとする多くの先人の方々のお陰によって、現在の日本、そして北海道の繁栄があります。 しかし、昨今の我が国の現状は、国内外を問わず、政治、経済、外交など、あらゆる分野で混迷を極め、幕末同様、国難ともいえる局面を迎えています。 坂本先生が目指された日本のせんたくを継承し、この難局を乗り越え、誇りある国づくりと世界平和を目指して同志の輪を広げるべく、今後一層、努力、邁進していくことをここにお誓い申し上げます。
平成26年11月15日     北海道坂本龍馬記念館館長 三輪貞治

《審査講評》
 第一回全国龍馬書道コンクールにふさわしく、意欲あふれるすばらしい作品がたくさん寄せられました。そして、皆さんの日頃の努力の成果が読み取れて、大変うれしく思いました。
 小学生の、元気よく気持ちがのびのびとした線で書かれた作品の数々には、豊かさを感じました。中学生は、一点一画の筆使いに、確かな技術と、十分に練習を積み重ねた筆力が感じられました。また、多くの作品に書かれた言葉にも工夫や気くばりがあり、大変楽しく審査することができました。
 書道を愛する豊かな心は、日本の伝統文化を尊重するすばらしいことです。これからも一歩一歩、努力を積み重ねることを期待しています。  審査委員長 上山天遂



公開フォーラム (11月15日 15:30〜18:00/於 北海道坂本龍馬記念館内特設会場)
龍馬祭の公開フォーラムは、全国から集った同志が、誇りある国づくりを目指して忌憚なく意見交換を行う場です。今回は「安倍政権に期待すること・言いたいこと」をテーマに、特に@政治、A経済、B安全保障という3つの軸に沿って討論が進められました。
参加者は、経営者、会社員、元教員、団体職員、公務員、主婦といった様々な分野の方々14名で、郷士坂本家十代当主・坂本匡弘氏と共に、世代や性別を超えて熱い意見交換を行いました。



《世界史概観》
現在、そして将来の日本について討論するにあたり、日本が諸外国とどのように関わってきたかを知ることが重要との観点から、冒頭において、特に大航海時代から現代に至る約500年間の世界史を概観しました。
●15世紀末の新航路発見を機に西欧諸国による植民地政策が始まり、当初はスペインとポルトガルが2国間で条約を結び、通商・植民活動の領域として世界を二分割し、それぞれに世界進出を図った。その後、宗教改革により、ヨーロッパにおけるキリスト教・プロテスタント勢力が広まり、カトリックはヨーロッパ以外の地域への布教を求め、日本ではイエズス会のフランシスコ・ザヴィエル上陸以降、宣教師たちがあいついで来日する。カトリック教国であるポルトガルとスペインは、植民地政策を根底に置きつつ、布教と貿易を一体化させて推進した。
●植民地政策における覇権国を概観すると、16世紀のスペイン、ポルトガルから始まり、オランダ、イギリス、そして戦後はアメリカへ移行していったといえる。19世紀、世界中が欧米列強諸国によって植民地化されていく中、鎖国政策を続けていた日本にもアメリカ・ペリー艦隊が来航して開国を迫った。攘夷か開国か、倒幕か佐幕かといった選択を迫られ、国内の動乱が激しさを増す中、坂本龍馬は列強諸国による植民地政策から日本を独立国として守るため、議会制民主主義による新政府樹立と富国強兵による近代化推進を目指して奔走し、その基盤を作った。
●現代における新植民地主義政策は、間接的に政治・経済を支配する手法が用いられている。第二次大戦後は米ソによる冷戦時代が続き、ソビエト連邦崩壊後はアメリカが世界の覇権を握ったものの、現在はBRICSと呼ばれる経済発展新興国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)の台頭などにより、世界経済は大きな変革期を迎えている。また、政治、宗教、経済などの要因から、世界各地でテロや紛争などが頻発して深刻化しつつある中、日本においても、政治、経済、安全保障などの分野で喫緊の課題を数多く抱えている。


《主な意見や提案内容》
●竹島や尖閣諸島の問題など、昨今の中国や韓国との領土問題をきっかけに、同盟国アメリカとの関係や安全保障、そして憲法改正に関する世論が高まることを望みたい。それが、今後の日本を改善していくきっかけになると思う。
●原油輸出が主で他に核となる産業を持たないロシアは、今後、新しいエネルギーの開発が進めば経済的に行き詰るのではないか? また、中国は公害もひどく、経済発展も下降傾向のように感じられる。日本の技術や産業の底力をもってすれば、今後も日本が世界経済をリードできると思う。
●日米安保条約の存在があるとはいえ、アメリカが日本を助けてくれるわけではない。日本は独自に武力を構築すべきだと思う。一番経済的で手っ取り早いのは核武装であるが、現実的に今の日本において国民の理解は得られないだろう。
●日本社会全体に「毅然とした態度」を示すという気概・姿勢がないことが問題だと思う。国防についても、まるで他人事のように語る人が多く、祖国をいかに守るべきかということを真剣に考えている人が少ない。自分はヨットの操船指導を通じて気概ある人材の育成に貢献したいと考えている。
●自分は実家がハワイにあるが、総じて日本人は地元を元気にしようという意識が薄い。また、信仰心が薄いことも気概の欠如につながっていると感じる。
●自分が幼い頃は、親や先生といった大人が愛情を込めて叱ってくれた。今はそういった大人が少なくなってしまった。日本の未来を考えると教育の問題は大変重要であり、特に家庭教育から見直し、人間関係の希薄さを改善していかなければならないと思う。
●政治(他者)に期待するのではなく、自分ができることを考え、実行していきたい。それが龍馬の精神でもあり、見習うべき点だと考えている。また、そういう人が増え、民間活力がより強くなっていかなければ真の改革は進まないのではないだろうか。
●人それぞれの事情はあると思うが、社会保障を頼る国民にならないよう、個々人が健康で健全な生活を心掛け、社会保障費を縮小していけるような社会を目指すべきだ。また、そのためには家族というものの存在意義や、かつての家族形態というものを見直すべきではないか?
●幕末と現代の若者の違いは、命がけで何かを成し遂げようとする気概を持っているかどうかだと思う。幕末の志士たちからそういったものを感じ取りたい。経済破綻した夕張市の市民が、その後復興に向けて一丸となって努力を続けている。破綻することによって初めて当事者が立ち上がったことは、幕末という龍馬の時代に通じるものがあると思う。少々乱暴な意見かもしれないが、日本に危機が訪れ、国民皆がその当事者意識を持たなければ真の改革はできないと思う。
●日本は諸外国と対等に対応できる気概を持つことが最も重要であろう。それなしには真の外交、国防は不可能である。
●龍馬祭は決して大規模なイベントではないが、特にこのフォーラムでは現代の日本社会を憂い、自分たちの手で何とか誇り高き国を創らなければならないという平成の憂国の志士が集まり、政治・経済・外交について語り合い、あたかもテレビの討論番組のようだった。しかし、テレビと決定的に違うことは、安倍政権を否定するだけでなく、“自分たちの力でできる何か”を探し求め、実現を目指そうという気持ちを持っている人たちの集まりだと感じた。


懇親交流会 (11月15日 18:30〜10:30/於「いろり焼 蔵や」)
北海道・函館の味を堪能しながら、幕末志士たちの如くざっくばらんに飲んで語り合う懇親交流会。今回は当記念館すぐそばにある「いろり焼 蔵や」にて14名が盃を酌み交わし、おいしい北海道料理に舌鼓を打ちながらの熱い宴は4時間に及びました。おいしいお酒とお料理を提供してくださったスタッフの皆様、本当にありがとうございました!!


◆五稜郭築造150年記念史跡探訪バスツアー(11月16日 9:00〜14:00) 今回の史跡探訪ツアーは、戊辰戦争最後の戦いとなった箱館戦争の舞台・五稜郭が築造150周年を迎えることから、箱館戦争関連史跡や五稜郭をめぐるバスツアーを企画しました。 函館のベテランバスガイド・森幸子氏によるきめ細かい解説を通じて函館の幕末維新史を学びつつ、昼食は、かつて龍馬の子孫・坂本直が明治新政府の役人として赴任した五稜郭において、創業135周年を迎える老舗・五島軒の伝統の味を楽しんでいただきました。 このコーナーでは、龍馬が目指した北海道・函館の幕末維新史を体感する魅力満点のツアーに皆様をご案内します。

《見学スポット》 @蝦夷地の坂本龍馬像(集合場所)→A碧血碑→B函館護国神社→C実行寺→D称名寺→E新選組最期の地碑→F弁天台場跡→G土方歳三最期の地碑→H中島三郎助父子最期之地→I亀田八幡宮(箱館戦争降伏式之地)→J榎本武揚之像(梁川公園)→K特別史跡五稜郭跡→L箱館奉行所